Vol.14 世界基準の舞台機構へ

 今回はお久しぶりの大ホールについてご紹介します。
大ホールについての更新から3ヶ月が経過しました。その間に天井改修工事は終了し、現在舞台機構、舞台照明の工事が行われています。
▲外されていた椅子も元通りになりました

 舞台機構はこれまでの国産メーカーから、ヨーロッパのオーストリアにあるWaagner Biro(ワーグナービロ)社製のものに更新されることとなりました。
Waagner Biro社の舞台機構は国内では東京の新国立劇場に、海外ではオーストリアのウィーン国立歌劇場、スウェーデンの王立歌劇場、オーストラリアのオペラハウス等名だたる劇場に導入されており、今回の更新により倉吉未来中心大ホールは、これらの劇場と同等の世界基準の舞台機構システムを備えたホールに変わります。

 一体何が世界基準なのか。それは、吊り物を吊るバトン、その昇降の命令を出す操作卓、操作卓から送られた命令に沿って実際にバトンを制御する制御盤、これら各機器をサーバーを中心としたネットワークで構成し、制御を行っている点です。
これらのシステムはComputer Aided Theatre System、通称C.A.T(キャット)システムと言い、このシステムを使用することで操作卓にて演出のきめ細やかなセッティングを記憶したり、機器からの情報を表示し、例えばバトンの耐荷重を超えていないかどうかチェックするなど、トラブルに即座に対処したりすることが可能となります。
 これらのシステムを構成する機器は一体どんなものなのか気になることとは思いますが、これについてはセキュリティが大変厳しく、写真を公開することは出来ません。
それだけ厳重なシステムが倉吉未来中心に整備されています。

 また、舞台機構操作盤も今回大きく変更されます。
倉吉未来中心のような多目的ホールの操作盤は、壁に設置されているタイプが主流で、小ホールは改修工事後も引き続きこのタイプが使われています。
 
▲壁と一体タイプの操作盤

大ホールも改修工事前はこのタイプでしたが、今回の工事で下記のようなタイプになる予定です。
▲新操作卓のデモ機▲ジョイスティック部分の拡大

 デモ機の方が壁面タイプと比べてボタンの数がかなり少なくシンプルで、ジョイスティックと呼ばれるレバーがあるのが特徴です。
美術バトンと呼ばれる照明や吊り物を吊るバトンの昇降速度がこのジョイスティックを傾ける角度で変わるなど、人間工学に基づいた設計になっています。
デモ機を触ってみましたがこれまでずっと壁面タイプ、特にボタンで操作することが当たり前でしたので、正直最初はとても違和感がありました。
しかし、色々と触っているうちに段々慣れていき、場面に合わせてバトンを設定した位置に自動的に昇降させるシーンメモリ機能などこれまで出来なかった使い方が出来ることがわかり、色々な発見がありました。
デモ機では実際に舞台機構を動かすことは出来ないため、いざ工事が終わり実際に美術バトンを動かせる状態ではまた違う感覚になると思いますが、利用者の皆様の要望や様々な演出に対応できるよう、リニューアルオープンまでに準備していきたいと思います。

 今回は舞台機構についてお伝えしました。
もう少し気になる、という方は施工業者のサンケン・エンジニアリングさんのホームページWaagner Biro社のホームページ(英語)を是非ご覧ください!

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