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公益財団法人 鳥取県文化振興財団

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「とっとりの芸術宅配便」

〜県内アーティストと教育をつなぎ、子どもたちに生きる力を身につける〜

幼い頃の体験は、一生涯を通じて、子どもたちの人生に深く影響を与えます。その体験がナマの感動であれば、その衝撃は尚更のことです。科学、スポーツ、自然、環境など様々な体験ジャンルがありますが、とりわけ、アートとのナマの出会いは、子どもたちの感性や創造性を育み、それを刺激すると共に、他者への理解や思いやりなどの心が養われ、加えて、日常生活における表現力やコミュニケーション力なども活発になります。

◆初志貫徹のもと

翻ってみれば自身も、幼少時虚弱体質だったが故に、体力づくりと共に精神力をも鍛えるという理由から、666日より日本舞踊の手ほどきを受けました。母親の芸能好きもあり、幼い頃から木馬座(当時流行のケロヨンやロバ君の着ぐるみショー)や演劇・ミュージカルを私に観せましたが、とてつもない感動と衝撃が子どもの心身に刻まれたのは、昨今建て替えが決定した歌舞伎座での歌舞伎観劇体験[i]でした。それ以後、古典芸能にどんどんのめり込み、やがて現代演劇にはまり、気がつけば、演劇プロデューサーを目指して上京し、地域に活動拠点を移して今日に至るという変遷です。

  学校教育の中の芸術体験授業

ご存じのように学校教育では、音楽(主に西洋音楽)と美術が主科目とされ、それ以外の芸術科目にはなかなか触れることができませんでした。しかし、新学習指導要領をきっかけに、小・中学校においては平成14年度より、高等学校においては、平成15年度より学年進行で「総合的な学習の時間」[ii]が本格導入され、多様なアートの授業の実施が可能になりました。また、平成14年度より音楽の時間に和楽器の実技が必須となり、西洋音楽に傾斜した授業内容に和楽器の体験学習が加わりました。

とっとりの芸術宅配便[iii]は、当財団のミッションある「子どもの文化芸術活動の推進」に基づき、文部科学省の流れと呼応するように平成15年度からスタートした事業で、教育関係者や児童・生徒をはじめとして、県民の皆様に大変ご好評をいただいている当財団のロングラン的な目玉事業になりました。年間約600万円の事業予算で推進しています。実施に至った背景としては、以下の4つに集約されます。

@   県内において、子どもの文化芸術鑑賞の機会は極限られている 

A   県内アーティストの取り組みを、将来を担う子どもたちが鑑賞・体験する機会は非常に少ない 

B   県内における文化芸術活動は、多くの分野で後継者不足の状況にある 

C   情報社会の中、子どもが豊かな情緒を育み、感性を磨き、創造性や表現力を養いながら生きる力を身につけるためには、情操教育が非常に必要であり、舞台芸術の鑑賞・体験は大いに有効である

本事業は、年間を通じて県内の小中学校、特別支援学校等に県内アーティストを講師として派遣し、鑑賞型・体験型の公演やワークショップ等を実施します。多様な時期の子どもたちが本物を通じて、感性を磨き、創造性や表現力を養うことで、生きる力を身につけることを目的としています。ジャンルは、西洋音楽部門(声楽・ゴスペル・アフリカ音楽)、邦楽部門(箏・十七弦・三弦・尺八)、郷土芸能部門(和太鼓)、表現活動部門(ヒップホップダンス)など、これ以外のジャンルについても、要望があればなるべく調整するようにしています。

  現状と課題

当初、地域アーティストを中心とした合同部門委員会(実行委員会形式に類似する形態)で推進していましたが、年々多様化するプログラムに加えて、実施校や実施回数が増加する中、職員のマンパワーにも制限があり、委員会での推進にも限界が見られました。また、平成21年度の実施校は56校を予定していますが、内、新規申し込みは5(小学校2校・中学校3)に止まり、未実施校への斡旋が課題となっています。地域別内訳は、東部地区(鳥取)が全体の66%を占め、中部地区(倉吉)と西部地区(米子・境港)への広報宣伝による周知徹底に力を入れる必要があります。

今後は、より一層のプログラム内容の充実を図り、質を担保した内容の授業をコーディネートしていくことや事業担当者のコーディネート力や開発プログラムの立案能力を養成することが急務となっています。

  とっとり芸術宅配便事業の体系化(20102013)

芸術普及事業がまだ盛んに実施されていない当初、見切り発車的に猛スピードの手探り状態でスタートした本事業も、かなりの実績とノウハウの蓄積から、いろいろな課題も山積し、事業推進の偏りがまだらとなって現れました。従って、事業の再検証をした上で、新しく整理し直し、実施方針の選択と集中を行いました。実施方針は以下の通りです。

@   子どもたちが芸術に触れる機会を提供し、将来の文化芸術の担い手や鑑賞者を育成する

A   未実施校へのアプローチを強化する

B   授業のプログラムや教育機関とアーティストの調整役を果たすため、事業担当者のコーディネート力やファシリテート力を養い、プロデュース機能を強化するための研修を行う

C   派遣講師の技術向上のため、トレーニングや研修等の参加機会を提供する

さらに、従来実施してきた事業を整理し、以下の4つの活動について体系化を図り、事業の質性を高めていくと共に、より教育的な効果が発揮できるようなプログラムを開発することを計画しています。

(1)  体験の柱:教育機関等におけるナマの芸術鑑賞と体験、レクチャーの実施

(2)  開発の柱:未実施校への斡旋

(3)  育成の柱:派遣講師のトレーニングと研修、事業担当者の研修

(4)  研究の柱:開発プログラム、テキスト、実績及び評価報告書等の作成

尚、本事業は、文化庁芸術拠点形成事業の助成金を活用し実施しております。

西洋音楽部門和楽器
    −西洋音楽部門−        −和楽器−                   
和太鼓アフリカ音楽
           −和太鼓−         −アフリカ音楽−


[i] 6代目中村歌右衛門による「阿古屋」、3代目市川寿海・7代目尾上梅幸による「鳥辺山心中」

[ii] 子どもたちに自ら考える力や学び方やものの考え方を身に付けさせ、より良く問題を解決する

資質や能力などを育む事をねらいとして、創意工夫しながら、具体的な学習活動を行う。(文部科学省Webより)

[iii] 実績については以下の通り。@実施回数 A体験児童数 B派遣講師延べ人数

平成15年度 @55回 A6000名 B320名 
  
  ナマの鑑賞、体験の場を提供

平成16年度 @51回 A5000名 B190名 
    ・新ジャンル(演劇・日本舞踊)
を導入
   
  西洋音楽及び邦楽両部門の講師オーディション実施

平成17年度 @75回 A6070名 B320
   
・実施体制の整備
   
・指導者研修会の実施(2
)
   
  平成15年度から平成17年度事業報告書作成

平成18年度 @87回 A8850名 B680
   
・過去最高の実施回数
   
・西洋音楽部門の講師オーディション実施
   
  指導者研修会の実施

平成19年度 @85回 A10600名 B540
   
・過去最高の児童体験数
   
・プログラム例の見直し
    
・表現活動部門の講師オーディション実施 
    
  指導者研修会実施

平成20年度 @60回 A8260名 B418
   
・新ジャンル(ヒップホップダンス)導入 

合計    @413回 A44780名 B2468

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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