改修工事の現場から 第6回

 忘れていたかのような雨が少し降りますが、モクモクとした入道雲の後ろに映える夏らしい青空が綺麗です。先日、ある方からスイカをいただきました。お店で買えば幾らするのかな?というような立派な縞模様の入った甘くて大きなスイカです。美味しさを言葉で伝えることはできませんが、その大きさを舞台で使う尺貫法で言うならば、大きさ:一尺二寸、重さ:三貫以上。(持って来る時、重かっただろうな…。)そんなスイカは3日もしないうちに冷蔵庫から消えてなくなりました。(ごちそうさまでした。また冷蔵庫を空けてお待ちしております。)
 さて、そんな美味しい話しは置いておき、今月も「改修工事の現場から」が始まります。

〜7月の工事について〜

 みなさま、お待たせしました。3月下旬から約4か月をいただいて実施してきた小ホールの改修工事が無事に終了し、7月19日にリニューアルオープンを迎えることができました。この改修期間中に、客席天井内部の安全対策強化や空調設備の更新、客席照明のLED化、舞台音響設備の更新にホワイエのカーペットの張替えなど実に多くの工事が行われ、オープンを控えた直前まで各工事の追い込み作業が実施されました。今回は、そんなリニューアルオープン直前の小ホールの様子と、9月末の完成に向けて着々と進む梨花ホールの「舞台機構設備改修」についてお伝えします。

◇小ホールリニューアルオープンへ向けて
 客席天井のLED器具「客電」は48台全ての取り付け作業が終わり、器具の点灯確認と照度測定が行われました。客席のどの座席でも均等な明るさが確保できているか最終チェックです。
            
〈LED器具「客電」点灯確認、照度測定〉
A照度測定2 

 続いて、舞台音響設備です。細かい配線や機器の取り付け作業が終わると、ようやくそれぞれの機器に電源が入れられ、一つずつ正常に動作するか確認したり、ホール内の各スピーカーから何度も音を出して、ホールの利用形態に応じて想定される必要な音量や細かな音質調整作業が行われました。
       
〈機器動作確認〉             〈音響測定の様子〉
C音響測定 

 壁や床、備品などを保護してくれたコンパネ板やブルーシートも撤去され、いつのも小ホールの様子が戻ってきました。それぞれひっそりと眠っていた備品たちや倉庫内に保管されていた客席の椅子等をきれいに掃除し小ホールの作業はすべて終了です。
       
〈備品の掃除〉                〈椅子設置〉
E椅子設置 

 梨花ホールを含めた全体の改修工事は9月末まで続きますが、小ホールは一足先に新しくなった設備とともに順調に動き出しました。写真を多めにお伝えしましたが、百聞は一見に如かずということでぜひ当館へお越しいただき、新しくなった小ホールを体感してみてください。
               
〈小ホールの全体画像〉


◇梨花ホール「舞台機構設備改修」
 「改修工事の現場から〜第1回〜」でもその工事の概要に少しだけ触れましたが、今一度どんな場所でどんな工事が行われているのか見てみましょう。

〈舞台の天井〉
 客席と舞台を仕切る「緞帳」、幕や仕掛けなどを吊るための「バトン」、たくさんの照明器具を吊りこむ大型の「ライトブリッジ」など、梨花ホールの舞台上部にはそのような吊物が全部で58基もあり、それらをまとめて吊物機構と呼んでいます。それよりもっと上の方。つまり舞台の天井を見てみるとそこには「すのこ」と呼ばれる空間が広がっています。舞台面からの高さは約33mにも及び、足元には等間隔(隙間)を開けて整然と鉄骨が配置されています。舞台上の全ての吊り物はこの場所を基点としてワイヤーで吊り下げる構造となっています。(※江戸時代に建てられた芝居小屋の「すのこ」は竹を格子状に組んで作られていたようです)

〈梨花ホール舞台断面図〉

〈更新対象設備〉
 ここからは改修される部分をもう少し詳しくみてみましょう。先ほど「すのこ」を基点としてワイヤーで吊り下げる…という話をしましたが、舞台演出で使用する吊物機構は全て緞帳のように上下へ動かせる構造でなければいけません。固定設備ではダメです。バトンを例にあげると、風景が書いてある幕やパネルを劇中の場面に合せてタイミングよく降ろす(見せる)ことで、一瞬にして舞台上の景色や風景を変えることができるなど、その上下の動きだけで舞台演出を支えています。このような原始的とも思える演出効果(上下の動き)を安定的に実現するためには、下の写真の「昇降マシン」「滑車」「ワイヤー」の3点が必要となります。今回はこのような部品を使用しているもののうち、重量3t以上という特に重たい吊り物設備を対象に更新作業を実施中です。(舞台上:ライトブリッジ5基、客席側:昇降式可動天井4基を対象として実施。総重量:約70t)

    〈昇降マシン〉         〈滑車〉          〈ワイヤー〉
I滑車 Jワイヤー 

              〈クレーンによる資材搬入作業〉
Lマシン搬入 

                  〈作業現場の様子〉

 8月に入ると次は客席側の改修作業に入ります。今まで以上に安全で安心な設備であるためにもう少し作業は続きます。現場の作業員さんたちも暑い中日々奮闘してくださっています。そんな工事に関わるすべての人の安全を祈りながら今月はこのあたりで終わります。これから暑い日が続きます。皆様も体調を整えて夏を乗り越えましょう。

〜次回に続く〜


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