Vol.9 新しい器具がやってきた

 以前のホールレターでもご紹介しましたが、今回の大規模改修では舞台照明の大部分がLEDに変わります。先日、そのLED照明をコントロールするための新しい舞台照明卓のデモ機がやってきました。

 この照明卓は小ホールに導入される予定のもので、以前の照明卓より横幅が半分とかなりコンパクトになりましたが、LED照明器具に対応することを始め、たくさんの機能が増えています。
ホールが再びオープンしたときにその新機能やこれまでの機能をこの照明卓でもスムーズに使えるように、照明スタッフが日々奮闘しています。

 また、LED照明器具のデモ機も2種類やってきました。
 

 こちらも小ホールに導入される予定の器具です。共通の特徴としてどちらもフルカラーLEDと呼ばれる照明器具となっています。
これまでは照明に色を付ける場合、表現したい色のカラーフィルターを照明器具に取り付けていました。
しかし、使う色が2色だと2灯、3色だと3灯など、色の数だけ照明器具を用意する必要があるため、準備や調整に時間がかかっていました。
しかし、フルカラーLEDの照明器具の場合、主に赤緑青の3種類のLEDを使用することで様々な色を1台で出すことが出来るため、カラーフィルターは必要ありません。
そのため、使用する器具の数を減らしたり、「ちょっとこの色で見てみたいんだけど・・・」といったご要望に素早くお応え出来るようになり、これまでと同様のクオリティを保ちつつも、準備の時間は短くなることが見込まれます。
※全てがフルカラーLEDの器具になるわけではありませんので、場合によってはこれまで通りのお時間をいただく場合もあります。
▲カラーフィルターたち。実は消耗品です。

 
▲カラーフィルターを装着した従来の照明器具(左)とフルカラーLEDを点灯させた状態(右)。

 また、これまでは1000Wの電球を使用した器具を使用していましたが、LEDでは同じ明るさをわずか300Wで出すことが出来ます。10台使っても3000Wで、これまでは10000Wを使っていたと思うと、かなりの省エネになります。

 この他にも客席や、音響反射板内を照らすライトもLED化されます。これらはフルカラーではありませんが、これまで通りの暖かい光で皆さんをお迎えすることはそのままに、省エネ、長寿命が期待されています。

【客席ライト】 【音響反射板ライト】
※どちらも改修前のものです。

 客席ライトは小ホールでは約50灯、大ホールでは約240灯あり、1年で20灯近くの電球を交換していましたが、それがLEDの長寿命化により大きく改善すると見込まれています。

 音響反射板ライトも長寿命化はもちろんのこと、リハーサルなどで長時間点灯させていると、発生した熱で舞台上の温度が客席内よりも高くなることがありましたが、LED化により熱の発生が少なくなるため軽減されます。
また、大ホールの音響反射板ライトは、これまで反射板設置後に6本の長く太く重い電源ケーブル(個人的にミライノオロチと呼んでいました)を反射板に接続する給電作業が必要でした。これが本当に大変だったのですが、今回のLED化で省エネ化が進んだことで電源ケーブルが減り、しかも細く軽くなります。
更に、接続した電源ケーブルがたくさん這っていてつまずく危険があった床面も、改修により利用に影響が少ない隅を通るようにするため、すっきりとし、より安全となります。
大ホールの音響反射板ライトについては今回の改修で舞台スタッフが一番喜んでいるところかもしれません。

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▲ミライノオロチ(左)。直径32mmのケーブルが10mもあり、重さはなんと16.5kg!
 同じ10mのHDMIケーブル(右上)やコンセントの延長コード(右下)と比べても存在感の違いは明らか。全てにおいてヘビー級でした。

▲プラグの先端を拡大した様子。左からミライノオロチ、HDMI、平行コンセント。

 ありとあらゆるところが変わる今回の改修工事ですが、リニューアルオープンした際には是非照明にもご注目ください。

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