Vol.4 演奏動画収録の裏で活躍する音響さん

 8月に入り、気温も高くなってきました。セミの鳴き声を聞くと、今年も夏が来たな、と感じます。今年は例年と異なりマスクが手放せないため、また一段と厳しい夏となっていますが、水分補給を適度に行い、乗り越えていきましょう。

 さて、先日公開されました倉吉未来中心初の演奏動画配信、和楽器とピアノの調べをあなたに/前半後半はもうご覧いただけましたでしょうか。
この動画は、篠笛、三味線の奏者である山内有二さん、ピアニストの重道博世さんにご協力いただき、撮影や録音、編集を未来中心の職員が行って制作しました。
 
 流れを簡単に説明しますと、
@ 小ホール内4ヶ所にビデオカメラを設置、撮影。
A 小ホールの3点吊りマイク等で録音。
B ビデオカメラの映像4本を1本の映像へ編集、同時に映像の音声を消去。 
C AとBを合成したものを編集して完成、という流れでした。
文字にするとこれだけですが、初めての作業だったため、試行錯誤を重ねながら制作を行いました。
完成した動画は前後半合わせて約30分ですが、撮影には準備を含め約5時間、編集を重ね、皆さんに公開できるようになるまで約1ヶ月を要しました。
今回はAの録音を担当した音響さんについてご紹介します。

 まず、マイクを準備するところから始まります。
今回メインで使用したのは、3点吊りマイク、と呼ばれるマイク装置で、普段は主に吹奏楽の演奏会などで使用するマイクです。 

このように3本のワイヤーで吊るされているので、3点吊りマイク、といいます。

2
3点吊りマイクは客席の上にセットし、またある程度自由に動かせるため、音響さんのここだ!といったポイントにマイクをセットすることが出来ます。

 また、篠笛用にマイクを設置しました。
これは、3点吊りマイクだけでは篠笛とピアノの音をバランス良く録音出来なかったため、補助的に使用したものです。
篠笛用に使用したマイク

 これらのマイクはどちらもコンデンサマイクといい、マイクの感度が高いため楽器の収音によく使用されます。
また、使用の際はファンタム電源という48Vの電源をミキサーなどから送る必要があります。
ファンタム電源は英語でPhantom power、直訳するとお化け電源といいます。
この名前になった理由は、音声用のマイクケーブルで音声と電源を送ることが出来るから、など諸説あります。
由来が明確に決まっていないところもまたお化けらしいですね。

 ちなみに、コンデンサマイクとは別にファンタム電源を必要としないダイナミックマイクというものもあります。
こちらはTHE マイク、といった感じの形をしているものが多く、コンデンサマイクよりも感度は低いですが、それを活かして様々な音の中で歌うボーカルやスピーチ用としてよく使用されます。また、耐久性がコンデンサマイクより優れているのも特徴です。
余談ですが仕組みを知るまでは、電源も電池もないのに電気信号を送れるダイナミックマイクもちょっとお化けみたいだと思ってました。

 マイクはコンデンサマイク、ダイナミックマイクのこれら2種類が大部分を占めています。
ダイナミックマイク

 さて、マイクの準備を終えたら、リハーサルで音の確認、微調整を行い、本番に臨みました。今回の収録では3点吊りマイクと篠笛用マイクの2種類のコンデンサマイクを使用することで、ホールの客席で聞いているような感じを目指して録音を行いました。
動画を通して、ホールの雰囲気を感じてもらえれば幸いです。

 ところで、今回の収録は5月の終わり頃、緊急事態宣言が解除されたばかりの時期でした。
当時はホール利用も全くなく、ホールレター担当もこの収録で約2ヶ月ぶりに生演奏に触れることが出来たのですが、改めて音を全身で感じられる生演奏ってやっぱり良いな、素晴らしいなと感じました。

 最後になりましたが、今回多大なるご協力をいただきました山内さん、重道さん、本当にありがとうございました。
色々とお願いすることもありましたが、快く引き受けてくださり、職員一同感謝しております。
お二人の演奏をはじめ、様々な文化芸術溢れる日々が早期に戻ることを願っています。

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