Vol.3 歌舞伎舞台のおはなし

 こんにちは!倉吉未来中心の舞台技術室です。
倉吉未来中心ホールレターVol.3です。今回はVol.2までの担当とは別の者が書きます。Vol.2までのファンの皆さん申し訳ありません。どうか温かい目で見守って下さい。

 倉吉未来中心には実は・・・本格的な歌舞伎用の舞台セットがあります。
未来中心では、平成15年(2003年)の「松竹大歌舞伎」を最後に歌舞伎公演が行われていません。永らく使われていなかった歌舞伎舞台の状態を確認するため、舞台セットを組んでみることにしました。今回はその様子をお伝えします。

 まず、舞台と客席を仕切る「定式幕(じょうしきまく)」を吊ります。定式幕は、黒色・柿色・萌葱(もえぎ)色の3色の縦縞が特徴の幕です。開閉は機械ではなく、人が幕の端を持って素早く移動します。この時、自分の姿が見えないようにするには相当の努力が必要とのことです。

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 次に「所作台(しょさだい)」を敷いていきます。所作台は檜(ひのき)で作られており、歌舞伎だけではなく、能や狂言などの古典芸能の公演でも使われます。

 所作台の上は、皮脂や汚れがつかないよう足袋を履きます。土足、靴下、裸足は厳禁です。所作台の上以外は雪駄(せった)で移動します。私は履き慣れていないので、終わった後、足の疲労がなかなか取れませんでした。

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 舞台下手からつながる「花道」の先に「鳥屋(とや)囲い」と呼ばれる部分を作ります。「花道」という言葉は今でもよく使われますが、元々は歌舞伎の用語です。役者さんに花を渡すための通路だったという説があります。鳥屋囲いは花道に出入りするための控室として使用します。

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 次は舞台正面の「松羽目(まつばめ)」、舞台横の「竹羽目(たけばめ)」というパネルを立てていきます。松羽目と竹羽目は分割されており、位置決めをして順番に立てていきます。パネルの裏側には「人形立て」と呼ばれる支えとなる部材を取り付けた後、「シズ」と呼ばれる重りを乗せ固定します。シズは1個10kgの重さがあります。

※わかりやすくするために画像を加工しています。

 Vol.1で紹介した照明さんのシュートを行い完成です!保存状態の確認をしながらの作業となったため、丸1日かかりましたが、状態も良く、美しい歌舞伎舞台ができました。


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 ちなみに松羽目前に敷かれているのはVol.2で紹介した長座布団です。ここに「地方(じかた)」と呼ばれる伴奏者が座ります。


 完成した姿を見た他の職員も、間近で見ることの少ない荘厳な歌舞伎舞台を見て、驚いていました。

 新型コロナウイルスの影響で先の見えない状況ですが、この歌舞伎舞台が大勢のお客様にご覧いただける日が来ることを願っています。

 倉吉未来中心公式YouTubeチャンネルでは歌舞伎舞台ができるまでの様子を紹介しています!こちらもあわせてご覧ください。

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