Vol.11 大ホール天井と照明

 前回は大ホールホワイエの天井改修工事についてお伝えしましたが、今回は大ホール内についてお知らせします。
大ホール内も天井改修工事が行われています。
天井改修工事も様々な方法があり、大ホールホワイエの場合は天井などの部材を軽量化したものに交換する方法でしたが、
大ホール内は鉄骨やワイヤーなどで天井を補強し、地震に強くする方法で工事を行っています。
そのため、ホワイエの場合は天井を剥がす作業を行いましたが、大ホール内は天井を剥がさずに工事を行っています。
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▲赤い鉄骨に取り付けられた銀色の鉄骨が今回工事で補強されたもの。
 この鉄骨やワイヤー等を取り付けることで地震が起きても天井が落下しないようにしています。
 天井裏は新築時から施されている耐震補強や、鳥取県中部地震での緊急工事で取り付けられた様々な鉄骨やケーブルがあるため、工事には慎重かつ繊細な作業が求められています。
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 一方、天井裏のウラ、つまり客席側では何が行われているのでしょうか。
以前のホールレターで客席に組まれた足場をご紹介しましたが、今回特別にその足場に登らせていただきました。
 
▲足場から下を覗いた様子。奥に見えているのが舞台です。
 ※安全に注意して撮影しました。

 約15mの高さまで足場が組まれていますので、実際に下を覗くと吸い込まれそうな迫力があります。
なお、2枚目に中途半端に組まれた鉄骨が写っていますが、これは今後作られる足場の準備です。
足場は一回組んだら終わりというわけではなく、工事エリアごとに足場を組み替えながら工事を行っています。

この足場を使って客席照明をハロゲン電球からLEDに改修する工事が行われています。
 
▲改修前のハロゲン電球(左)と改修後のLED(右)

 これら2種類の客席電球を点灯させた状態で比べることが出来ました。
明るさでは違いを感じませんでしたが、熱の部分では大きな差を感じました。
それぞれの電球に手を近付けると、これまでのハロゲン電球は結構熱いなと感じましたが、LEDは熱をほとんど感じませんでした。
LEDになると熱が少なくなるとは知っていましたが、改めて比べてみると思っていた以上にその差は明らかでした。
また、改修前は大部分のエリアで250Wの電球を使用していましたが、今回の改修でそれらが約30Wの電球になりました。
200灯以上ある客席電球がこれまでと同じ明るさを保ちつつも約8分の1の省エネ化。技術の進歩を感じます。

 ところで、客席電球の横に小さい突起があるのですが、これが何かご存じでしょうか。

 これは光ファイバーと呼ばれる電飾の一種です。
光ファイバーと聞くとインターネットのことを思い浮かべる方が多いかと思いますが、正式にはグラスファイバー照明といい、
電球の光を光ファイバーの細いケーブルに通して照射するものでホール内に整備されているものは少なく、全国的にもかなり珍しい設備となっています。
その光ファイバーを点灯させた様子がこちらです。

 光ファイバーを使用することで星空のような幻想的な雰囲気を演出することが出来ます。
2枚目のように色を変えることもできます。
写真では緑ですが、青やオレンジなどに徐々に変わっていきます。
ただし、白以外の色に固定することが出来ないのが残念ですが・・・
今では舞台照明も色が変わることは珍しくないですが、開館当時としてはとても珍しく、先進的な設備でした。
これは改修後も変わらず使えますので、今後はこの光ファイバーにもご注目いただければと思います。

〜おまけ〜
 今回この足場をお借りして普段手が届かない壁面やピンスポットルームのガラス面の清掃を行いました。
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 ピカピカになったガラスを通してピンスポットの光はこれからも美しく出演者の皆様を照らしてくれることでしょう。

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