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観光カリスマが語る智頭町の魅力

智頭町長 寺谷誠一郎氏

 私たちの智頭町は中国山地に抱かれた山間の町です。山に木を植え、林業で栄えた歴史があります。しかし、日本の林業の衰退とともに、わが町の置かれている状況もずいぶんと変わりました。それを考えたとき、今までの歴史を大切にしながら違う発想で新しい町づくりをしようという思いがありました。それは、どんな町づくりなのか、少しご紹介します。


 はじめに思うのは、田舎に位置する私たちの町で、ビル(箱モノ)をどんどん建てるとか、商業中心で成り立つ町にしようとかは考えられないということです。ここは都市部ではありません。まして東京や大阪など大都市の地域環境と同じ発想ではやっていけません。では、そうした都市にはない魅力は何かと考えたとき、それはやっぱりあるんです。ここにしかないものです。それは山であったり川であったり、ここで生活する人々のなかに見られる風景です。また、ここには長い歴史とその遺産というものもあるんですね。町には、もともと備わっている財産というものがあるわけです。ここに、しっかりとした光を当てていくのが私の一つの仕事だと思っています。


石谷家住宅

 たとえば智頭町の町なかに「石谷家住宅」(国登録有形文化財、国重要文化財指定に答申中)があります。江戸時代、山陰・因幡と山陽を結ぶ要路の宿場町として栄えた往来に面し、近代の和風建築としてのみならず、この地の歴史遺産として貴重な来歴を物語る記録が石谷家には残されていました。町とその周辺の広い地域の歴史をとどめるこの住宅を智頭町が譲り受け、今では観光名所の一つになっています。また、山村の古い民家群のたたずまいを残す板井原集落(伝統的建造物群保存地区)、田舎で楽しまれていた人形浄瑠璃の世界が受け継がれる集落(智頭町新田)もあります。これらは、長い歴史のあいだにこの町を行き交った人々と地元の人たちが培ってきた文化の証でしょう。もちろん町の深山にある芦津渓谷、トレッキングや登山を楽しめる那岐山(国定公園)など自然遺産もたくさんあります。


 このような貴重な財産を、私たちの町の中だけで収めてしまうのは、もったいない。都市部には無いオリジナルな私たちの財産だからこそ、それを多くの町外の人たちと共有し、観光や文化交流を通じた人と人とのふれあいを深められる町をつくっていきたいと思いました。
それを今、具体的に推進しようとしているのが「森のようちえん」の開設や「森林セラピー」の活動などです。

豊かな自然に囲まれた智頭町 私たちの智頭町は面積にして、その約9割が森林です。だから林業で成り立ってきたこともありますが、実は、私たちの身近にあるこれらの森はこれから、もっともっと大切になってくるなではないかと考えています。
 農林と別れて都会に出てみた。ところがどうでしょう。あくせく働き戦後の経済復興の恩恵の上で、そこそこお金や財産は蓄えられたかもしれません。けれど次世代の多くの子どもたちは田舎の「いの字」も知らない。実際、今の子どもたちの教育環境はどうでしょう。そう思いつつ振り返って我が身の老後はどうなるのか……と、ご心配の方もたくさんおられる。都市であれ田舎であれ、息の詰まりそうな日々に追われる生活にストレスを感じている人は多いと思います。そのような人々が、もっとゆったりと深呼吸できる場所、エスケープできる場所があってもいいと思うんです。そこで私たちの町は開かれた場所として、森の空間と人々のつながりを培う「森のようちえん」や「森林セラピー」の町づくりを推進しています。これは、いわば“疎開の町づくり”ですね。


森のようちえんの子どもたち

 幸か不幸か、智頭町は過疎の町なので私たちの森の中には空き家や空き間が増え、これからもっと増えるかもしれません。でも、それはとても、もったいない空間だと思っています。だって、そうでしょう。大きな自然のなかで触発される発想は、都市部でのそれと違うのですから。たとえば山間の民家を都市部の企業社員の保養施設として、あるいは束の間の仕事場に利用してもらう、などということも考えられないことはありません。実際にそのような相談を持ちかけてくださる企業もあります。IT(情報通信)技術が、それを後押ししてくれています。パソコン1台あれば、ちょっとした仕事なら田舎にいてもできる時代です。
 一方、働く人、それからゆっくりと安らぎたい人のみならず、これから育っていく子どもたちにも私たちの森がもつ力を味わっていただきたい。子どもたちに森にある不思議を体験してもらいたいと思っているんですね。いわば、森の中で過ごす自然体験型のプレイ&スクールです。多くの子どもたち受け入れて貴重な体験を時間をかけて楽しんでもらえるような施設をつくれないものか。それが「森のようちえん」構想なのです。
 森の中には虫がたくさんいたり、毒蛇のマムシがいたりします。けれど、田舎の人たちは危険に思える生き物たちとも上手にお付き合いしてきました。多くの動物、樹木や小さい草花にも生命の宿りがあります。そのような生き物の大切さを知るうちに、やがて子どもたちは地球の営みの一端に触れるでしょう。それをたどって行けば、さらに地球温暖化の問題や、森林保全がその問題に加わっていること、さらに自分がその中に生きていることが理解できるかもしれません。
 森の中にある智頭町を、私たちは、森の中で人々の生きる知恵を発掘し、それをいつも発信し続けて、多くの人に伝えていくことのできる町にしたいと思っているのです。

「観光カリスマ」…
「観光カリスマ」とは、内閣府及び国土交通省が中心となり、 日本の地域観光の振興を目的として、特色のある観光地 づくりに貢献した人々を選定したものです。
選定にあたっての取組「石谷家住宅の一般公開、板井原集落保存など」
名称「日本の原風景に磨きをかけ、過疎地を観光地に変えたカリスマ」

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石谷家住宅

【国指定重要文化財】
重厚な大門で人々を出迎え、3000坪という広大な敷地に部屋数が40以上ある邸宅、7棟の蔵、美しい日本庭園を持つ「石谷家住宅」。

板井原

押しつぶされそうなほど迫りくる山肌、どちらを向いても深緑の杉林。そのわずかな谷間に広がる集落には、まるで昭和30年代の山村風景がそっくりそのまま残っています。

新田

智頭町の南部、峠を越えればもう岡山県という県境の集落「新田」。開拓が始まった1645年頃に造られたという石積みの棚田が美しく、谷を包む深緑の杉林とともにどこか昔懐かしさが漂う山里風景が広がっています。

那岐山

中国山地東部、鳥取県東部を代表する名山で、智頭町側と奈義町(岡山県)側のどちらからも登山道があります。那岐山に登る楽しみのひとつは季節ごとに表情を変える草花に出会えることです。

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